今回は、「鶏卵とコレステロール値の関係」についてのお話です。
まず、一般的に鶏卵を食べるとこれまでは体内のコレステロール値が上がると言われています。
これは、鶏卵一個に、250mgのコレステロールが含まれている為です。
それは、1970年代にアメリカのヘグステッドという学者たちが、「食品中のコレステロールが100mg増加すると、血清総コレステロール(血液中のコレステロール)が6mg/dl上がる」という有名な「ヘグステッドの式」を提唱し、それが通説となっている為です。
ちなみに、健康維持のためには、一日に摂取するコレステロールは、300mg以下に抑えるのが望ましいとされています。
それと、1913年にロシアの病理学者ニコライ アニチコワがうさぎに鶏卵のコレステロールを与えた実験で、血中のコレステロール値が上昇したために、鶏卵のコレステロールは、血中のコレステロール値を上昇させるというのが、
通説となったのです。
ですから、この説が長い間、正しいとされてきました。
しかし、最近、この説を否定する説が、言われるようになってきました。
それは、「鶏卵は、コレステロール値を上げない。うさぎは、草食動物なので、うさぎに鶏卵のコレステロールを与えた実験結果は、あてにならない。草食動物は、食物からコレステロールを摂らないから、そのまま血中コレステロール値が上昇してしまったんだ。人間は、雑食動物だから多少コレステロールを多く摂っても肝臓で合成するコレステロール量を調整するから大丈夫である」
という説です。
また、一日に10個鶏卵を食べても血中のコレステロール値が上昇しなかったというデータもあるのです。
その原因としては、いくつか理由が考えられています。
まず第一に、先ほど書いたように、肝臓で作られるコレステロールの量を調節するからです。
人間が必要とするコレステロール量に対し、食物から摂っているのはわずか四分の一に過ぎません。残りの四分の三は、肝臓で合成されるのです。
ですから、多少コレステロールを食物から摂り過ぎても、肝臓での合成量を調節するので、すぐに血中のコレステロール値が上昇する事はないのです。
第二に、卵黄には、コレステロール値を下げる働きがあるレシチンという物質が含まれているからです。
また、卵白に含まれるシスチンやオボムチンにもコレステロール値を下げる働きがあるからです。
さらに、コレステロールを下げるオレイン酸も豊富に含まれています。
それを裏付けるような形で、最近、アメリカで1万人を16年間追跡調査した結果、「健康な人なら1日1~2個の卵を食べても冠状動脈疾患や脳梗塞の発症
は増えないことが分かった」と発表がありました。
ただし、「糖尿病を発症している人は、心筋梗塞になるリスクが1.7倍と有意に高かった」というデータが出ています。
これで、鶏卵の安全性が証明されたかと思いきや、女性には気になるデータもあります。
それは、「一日に鶏卵を2個以上食べる女性は、週に1~2個食べる人の2倍の死亡率がある」というものです。
こちらは日本での研究で、同じく1万人を14年間追跡調査したものです。
男性では死亡率の上昇は、見られていません。
なぜ、このような全く違う結果が、出てきてしまうのでしょうか?
理由は、三つ考えられます。
まず、第一に、データの分析方法が妥当でないという可能性が考えられます。
上記の「鶏卵を毎日2個以上食べる女性は死亡率2倍」をデータの分析方法が妥当でないという反論があります。
「多変量解析による誤差補正を行い統計的な有意差検定を行った結果、毎日卵を2個以上食べるグループと毎日1個食べるグループの死亡率に有意な差はなかった」という主張です。
ただ、この主張をしているのは、日本養卵協会ですから、素直に信じて良いのか難しいところですね。
第二に、鶏卵のコレステロールで、体質的に体内のコレステロールが上がる人と上がらない人がいる可能性があるということです。
全く、逆の体質の人がいるから、単純に決まった結果が出ないでバラバラな結果が出ている可能性があるという訳です。
それを裏付けるように、鶏卵が体内のコレステロールに与える影響を調べた54論文のうち、「コレステロール値を上げない」というものは、45論文あり、「コレステロール値を上げる」というものは、9論文あったのです。
また、東海大学医学部の本間康彦氏の実験によると、毎日3個の鶏卵を食べて
2週間後に悪玉コレステロールをはかった結果、65%の人は上昇しなかった
が、残り35%の人は上昇したという結果が出ているのです。
これは人間の約三分の二は、鶏卵を食べてもコレステロールが上がらないが、
三分の一は鶏卵で上がるという可能性を示していると思います。
第三に、食事法により、結果が違うというものです。
具体的には、鶏卵と動物性脂肪を一緒に食べるとコレステロール値が上昇し、鶏卵のみ、または、鶏卵と植物性の食事を食べた場合はコレステロール値の上昇はしないという説があるのです。
バターや牛肉や牛乳などに含まれるミリスチン酸は、必要以上にコレステロールを合成させ、大量に血液中に流出させます。
この時点では、細胞膜の合成などに使われ悪影響はないのですが、余ったコレス
テロールが肝臓に戻るのをミリスチン酸が閉め出してしまいます。
これが、悪玉コレステロールとなり、次第に血中コレステロールがあふれ出るようになるのです。
鶏卵にはこのミリスチン酸が少ないので、血中のコレステロール値を上げないの
ですが、ミリスチン酸を含む食べ物(動物性のもの)と共に食べるとコレステロ
ール値を上げるのです。
まとめ
1、鶏卵とコレステロール値を調べた実験は、結構あるが、結果はバラバラである。
2、「鶏卵は、コレステロール値を上げない」というものが多いが、「コレステロールを上げる」というものもある。
3、「鶏卵を毎日食べる女性は、死亡率が二倍」というデータもある。
4、「一日1~2個の鶏卵は、冠動脈疾患のリスクを上げない」というデータもある。
5、バラバラな結果が出る理由は、3通り考えられる。
6、データの分析の仕方が妥当でない場合がある。
7、鶏卵で、コレステロール値が上がる体質と上がらない体質が存在する。
8、鶏卵の調理法によって、コレステロール値が上がるものと上がらないものが存在する。ミリスチン酸を含む動物性食品と鶏卵を一緒に食べるとコレステ
ロールが上がり、ミリスチン酸を含まない食品と共に食べると上がらない。
どの説が本当に正しいかは、現在でも正確には分かっていません。
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