今回の話題は、「ビタミンDで細菌感染の予防の原動力?!」です。 🙂
ビタミンDは、骨を形成する上でなくてはならないものですが、今回、
結核菌などの細菌感染から身体を守るための防御タンパク質を作る際にも、重要な役割を果たしている事が分かりました。
これは、カルフォルニア大学ロサンジェルス校のRobert L. Modlin博士が、
約10年かけた研究によりわかったもので、権威ある科学雑誌サイエンス(Science,
2006, Feb.23, on line)に報告されています。
今までの研究で、ハエの免疫システムが、ハエに感染する細菌や
カビに対する防御物質を作り出すことがわかっていました。
ちょっと横道にそれるかもしれませんが、ウンチには大腸菌が
数え切れないほど多くいます。
ある時、便所の中にウジが大勢いる事を見た科学者が、何故
ウジは大腸菌に感染しないのだろうか、と考えたのが始まりといわれています。
そして人間にもこれと同様の感染防御たんぱく質を作り出すことがわかり、
このたんぱく質が殺菌効果のある一酸化窒素を作り出すために、細菌感染が
起こらなくなる事が明らかになってきたわけです。
ところで、今までの疫学調査で、白人に比べて黒人の方が結核菌に
感染しやすく、病状も悪化しやすい事が知られています。
そこでこの研究者は、防御タンパク質の産生に違いがあるのではないかと
考え、マウスの防御タンパク質を作る細胞を、黒人から採った血清の中で培養し、
白人の血清中で培養した場合と比較しました。
その結果、黒人の血液に由来する血清中では、防御たんぱく質が63%も
少ないことがわかりました。
次に、ビタミンDを黒人の血清に加えたところ、この防御たんぱく質の
合成量が増えたそうです。
これらの結果から、防御タンパク質を身体内で作るにはビタミンDが重要で、
ビタミンD前駆体が太陽光によって変換されてビタミンDとなり、これが
結核菌などを殺傷する一酸化窒素を合成する防御タンパク質を作るのではないかとしています。 💡
黒人はビタミンDの量が少ない事が知られていますが、黒人が結核菌に
感染しやすいのはビタミンDのレベルが低いためであり、肌の色を黒くする
メラニン色素が太陽光中の紫外線を吸収してしまって、ビタミンDへの変換が
うまくいかないためであろうと云う訳です。
今回の研究は、試験管内の実験ですので、実際にヒトの身体でも
起こっているかどうかはわかりません。
また、サプリメントとして、経口でビタミンDを摂取した場合でも、この
防御タンパクが多く作られるようになるかどうかは今後の研究課題です。
しかし、抗生物質などの薬に耐性の細菌が増えてきていますので、外から薬で
細菌をやっつけるのではなく、体内で出来る防御物質を増やすという発想は
重要だと思います。
ビタミンDサプリメントが有効な予防薬となりうることが期待されますので、
これからの研究成果が待たれます。
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