今回は、本のご紹介です。 🙂
「落合博満 決断=実行」落合博満・著 ダイヤモンド社
今回の一冊は、40万部を突破したベストセラー『采配』の著者、落合博満氏が、
7年ぶりに出すリーダー論、マネジメント論です。
相変わらず歯に衣着せぬ語り口で、理路整然と勝つための条件を述べており、
単なる精神論で終わっているマネジメント本とは一線を画しています。
常勝チームを作るために、著者が中日ドラゴンズでまず決めたこと、
選手から監督になる時のマインドのチェンジの仕方、選手の積極性を引き出すための声掛け、名選手たちから学んだことなど、じつに
読み応えのある内容となっています。
マネジメントする側、される側双方の視点が示されているので、
どんな立場で読んでも楽しめると思います。
個人的には、勝つためにあえてクセを直さず、長い目で見た勝利を
取った、稲葉投手のコメントが目を引きました。
<稲葉さんのクセは、カーブを曲げようという心理的な面が体に作用するのが
原因だった。
だから、クセを直してしまうとカーブが曲がらなくなるのではないかと
不安になる。
それならば、クセがバレていても鋭いカーブを投げていたほうがいいという結論に達した
そうだ。「それに、俺のカーブをあんなに簡単に打ったのは、おまえくらいだった。
けれど、他の打者は抑えていたからいいんだ。
おまえだけと野球をやっているわけじゃないからな」(中略)クセを修正しようとして、肝心な自分のフォームを崩してしまった投手も私は見てきた。
クセは直せばいいというわけではないのだ>
デキるリーダーは何事も全体的、長期的に考える傾向がありますが、
本書を見るとまさにそのように感じます。
マネジメントに携わる方は、ぜひチェックしてみましょう。
以下、赤ペンチェックです。
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常勝チームを作るには、選手が不安なくプレーできる環境を整え、
時には選手がベンチの指示で動くのではなく、自分の考えと判断で
プレーすることが肝要だと考えていたので、無闇にコーチから教えることも禁じ、選手から求められた場合だけ的確なアドバイスをするように厳命した。
監督としてユニフォームを着る時に、肝に銘じたのは次のことだ。
「自分ができたことを伝えるのではなく、自分ができなかったことを勉強する。」
走ってもアウトになると「なぜあそこで走るんだ」と言ったりするから、
選手はなかなか走れなくなる。
そこで、戦術的に走ってほしくない場面では
「走るな」というサインを出すから、それ以外は自分で二盗を狙えと指示し、
アウトになっても何も言わなかった。
アウトになって一番悔しいのは走った選手本人である。
アウトになったことを叱責されるのではなく、それでも「走れ」と言われれば、
次はどうにかセーフになりたいと考える。
その“考える”ことが大切なのだ。
何事も少数で否決された物事をすぐに忘れてしまうのではなく、
いつか日の目を見ることはないのかと記憶に留めておくことは大切だろう。
勝負事を最後に左右するものは何かと問われれば、「諦めた者が負け、
諦めさせた者が勝ち残る」ということ。
何かを変えてみようかと考えるには、やられてからでいい。
「同じことを続けても通用しない」と、やられる前に自ら手を打つ必要はない。
稲葉さんのクセは、カーブを曲げようという心理的な面が体に作用するのが原因だった。だから、クセを直してしまうとカーブが曲がらなくなるのではないかと不安になる。
それならば、クセがバレていても鋭いカーブを投げていたほうがいいという結論に達したそうだ。
「それに、俺のカーブをあんなに簡単に打ったのは、おまえくらいだった。
けれど、他の打者は抑えていたからいいんだ。
おまえだけと野球をやっているわけじゃないからな」(中略)クセを修正しようとして、肝心な自分のフォームを崩してしまった投手も私は見てきた。
クセは直せばいいというわけではないのだ。
投手陣は「9点取ってもらった試合は8点までに抑えよう」、
野手陣は「5点取られたら6点取り返してやろう」とプレーするのが勝てるチームだ。
受け取る側になる選手が心がけなければいけないことは何か。
それは、聞き上手になれ、ということだ。(中略)次は、
「アドバイスされたことを試してみよう」という姿勢を持つこと。
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戦略のところは理詰めで冷静に書かれていますが、働く読者への
メッセージは、じつに熱いです。
上司や組織に不満を言う前に、まずは本書を一読したいところです。
これから一流を目指す方に、ぜひオススメしたい一冊です。
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