今回は、本のご紹介です。 💡
『サイボーグ時代』吉藤オリィ・著 きずな出版
MITメディアラボ所長の伊藤穰一さんが、著書『教養としてのテクノロジー』の中で、こんなことを述べていました。
<僕は「パラリンピックがいつの日か、オリンピックを超える競技会になる」ことをいつも想像をしています。
人間が拡張の方向に大いに進んでいくだろうと予想していますし、それを
可能にするテクノロジーが次々と登場しているからです>
また、TEDカンファレンス、ワイアード、エコノミストなどで基調講演を行った、Tech界のグル、ブレット・キング氏も、著書『拡張の世紀』で、人間が拡張する未来を予言しています。 💡 💡
今回ご紹介する一冊は、この人間拡張のテクノロジーに挑んでいる
鬼才、吉藤オリィさんによる注目の一冊です。
吉藤オリィさんは、工業高校にて電動車椅子の新機構の開発を行い、
国内の科学技術フェアJSECにて文部科学大臣賞、並びに
世界最大の科学大会ISEFにてGrand Award 3rdを受賞されました。
早稲田大学創造理工学部在学中に分身ロボットOriHimeを開発し、
米Forbes誌の「アジアを代表する30人」にも選ばれた、今注目の人物です。
本書では、人間が拡張するとはどういうことか、それによって何が
可能になるのか、そんな時代に活躍する人の条件とは、が書かれています。
いくつかポイントを見て行きましょう。 💡 🙂
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重度障害で体が動かせなくても、OriHimeを使えば“社会参加”が
可能になる。
周囲とコミュニケーションはとれるし、会社に毎日いてくれて文章やメールが打てれば仕事は十分できる。
そして本人も一緒に働いている感覚を得ることができる。
この絵では私がつくった「OriHime eye」というツールを使っている。
眼だけでPCのカーソルを動かしたり、文字を入力したりできる装置だ。
OriHime-Dを使えば、先ほどの番田や榊さんのような寝たきり状態の人が
遠隔操作で自分の周囲や離れた場所を移動し、ものをつかんで運ぶことができる。
たとえば友人を病院の入り口まで迎えに行って自分の病室に案内するといったことが可能だし、冷蔵庫を開けて飲み物などを出してあげることもできる。(中略)
OriHime-Dを使えば、注文を受けたり飲み物を運んだりなど、だれかになにかを
「してあげる」ことが可能になる。
これを発展させれば、将来は
自分の身体の介護を自分でできる未来が来るのだ。
本書の帯で私が装着しているマスクも自作のツールだ。
まだ研究途中だが、タイトルである「サイボーグ時代」らしさが一番あるので
採用された。
将来的にはこのマスクにもOriHime eyeを内蔵し、
片目を常時インターネット世界に接続させるような構想を持っており、研究中だ。
人は高齢化や病気、ケガなどで、いままで「できた」ことができなくなっていくとき、絶望にも近い悲しみや将来への不安を覚える。
しかし「できない」と思っていたことが「できる」に変わった瞬間、
未来に対して希望を持つことができる。
私が改めて提唱するのが、「サイボーグ的に生きる」である。
これは、自分の能力、意識を時代に合わせ、つねにアップデートさせる生き方だ。
これまでの時代は「年長者が年下に教えているのが当たり前」だったが、
価値観が多様化した社会においては「年長者が年下の人間に
教えを請うのがスタンダードな時代」になる。
いわば「逆年功序列社会」だ。
テクノロジーの発達が万能人間を不要にしつつある。
◆できることを見つける4つの方法 🙂
1.「なりたい」じゃなくて「やりたい」を目指す
2.夢中になれることを探す
3.興味を発見できるコミュニティへ所属する
4.興味を削ぐコミュニティ・人からエスケープする
テクノロジーが発達すれば、そうした身体的な特徴(長)はある程度、
可変的なものになる。
つまり将来、人間の体はコモディティ化する。
肉体や能力の差が実質的になくなっていくことで、その点で人を
比べることもなくなっていくということだ。
そうなったとき、なにが重要になるか?
それは、「意欲があるか」「好きなこと、
やりたいことは明確か」「最後までやりぬく気概があるか」。
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読んでみて感じたのは、これからの時代は肉体にしろ、精神にしろ、
「欠落がある人」の時代だということ。
なぜなら、欠落がある人ほど、「意欲」を持っているからです。
意欲がソリューションを求め、学習を促し、テクノロジーを生み出す。
結果として、そんな人が時代の寵児となるのでしょう。
人間拡張の時代のイメージを抱くためにも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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